歌うように吹く

「まるで歌うようにフルートを吹くんですね」


初めて演奏を聴いていただいた方が、このように言ってくださる事が多いです。


今はもちろん自分のメイン楽器はフルートなのですが、その前はピアノ、そのまた前は歌、なのだろうと思います。

歌う事が大好きなのは、母譲り。歌手を夢見ていた母の歌声は、今でも綺麗だな、と思います。



先週末は四郎丸コミュニティセンターにて、ヴェントディムジカのソプラノ永井先生と、そしてピアノ井林先生とご一緒させていただき、コンサートをさせていただきました。


その際、永井さんが『皆さん全員、ここに楽器を持っているんですよ』と、声帯のお話をされました。

声帯があり、歌う事ができる。

歌う事が、人間にとって最初の音楽であることは間違いない事でしょう。


時々生徒さんに、『この旋律、歌えますか?』と、歌ってもらう事がありますが、スムーズに歌える方と、そうでない方と分かれます。上手かどうかは、問題では無く、『歌おうとする事』が、その人にとって、どれだけ自然になる事か、が、大切なように感じます。


今回のコミセンでのプログラムは、日本の歌、童謡が殆どでしたが、お客様皆さんと一緒に歌を歌い、音楽を一緒に感じられた事に、思わず胸が熱くなりました。

3年以上に及ぶマスク生活により、歌う事、音楽を楽しむことが、どれだけ人々から奪われてきたのでしょう。

ようやく大きな声で、のびのびと、楽しく自由に音楽を楽しめる。そんな日々が戻ってきつつあるのだなぁと実感いたしました。


音楽の輪、歌声の輪が、これまでの分も含め、一層元気に、限りなく広がってくれることを願います。